ホームページの新規制作やリニューアルを検討するとき、「補助金や助成金でコストを抑えられないか」と考える中小企業・個人事業主の方は多いはずです。実際、国や自治体には、販路開拓やデジタル化を支援するさまざまな制度があり、条件が合えばホームページ制作費の一部をまかなえる場合があります。
一方で、「IT導入補助金を使えばホームページが作れる」といった誤解も少なくありません。制度によって、ホームページ制作費そのものが対象になるか、いくらまで補助されるか、申請に何が必要かは大きく異なります。本記事では、ホームページ制作に関係する補助金・助成金を2026年時点の情報で整理し、対象になるケース・ならないケース、申請の流れ、注意点までをわかりやすく解説します。
なお、ホームページ制作の費用相場や依頼先の選び方など全体像から知りたい方は、総合ガイドもあわせてご覧ください。
※本記事は2026年時点で公表されている各制度の情報をもとに解説しています。補助金・助成金は年度ごとに内容や公募期間が変わり、申請には細かな要件があります。実際の申請にあたっては、必ず各制度の公式サイトや公募要領で最新情報をご確認ください。
目次
ホームページ制作に補助金・助成金は使える?まず押さえる全体像
結論からいうと、ホームページ制作に使える制度はありますが、「どの制度でも自由にHP制作費が補助される」わけではありません。制度ごとに目的や対象経費が決まっており、HP制作費そのものが対象になるかどうかは制度次第です。まずは補助金と助成金の違いと、全体像を押さえておきましょう。
補助金と助成金の違い

「補助金」と「助成金」は混同されがちですが、性質が異なります。補助金は、経済産業省や中小企業庁などが政策目的に沿って公募するもので、予算や採択件数に上限があり、申請しても審査で採択されなければ受け取れません。一方、助成金は厚生労働省系の雇用関連や自治体のものに多く、要件を満たせば原則として受給できるタイプが中心です。ホームページ制作で関係するのは、販路開拓やデジタル化を支援する補助金と、自治体独自の助成金が中心になります。どちらも「あとから受け取る後払い」が基本である点は共通しています。
補助金の特徴
- 経済産業省・中小企業庁などが、政策目的に沿って公募する
- 予算・採択件数に上限があり、審査で採択されないと受け取れない
- 例:小規模事業者持続化補助金、デジタル化・AI導入補助金 など
助成金の特徴
- 厚生労働省系の雇用関連や、自治体のものに多い
- 要件を満たせば、原則として受給できるタイプが中心
- 例:自治体独自のホームページ関連助成 など
「HP制作費そのもの」に使える制度は限られる
ここが最も重要なポイントです。ホームページ制作費そのもの(デザイン・コーディング費など)を補助対象にできる制度は、実は多くありません。代表的なのは、販路開拓を支援する小規模事業者持続化補助金の「ウェブサイト関連費」と、自治体独自のホームページ関連助成金です。後述するデジタル化・AI導入補助金は、ホームページ制作費そのものは対象外で、登録されたITツールの導入費が対象です。「HPを作りたい」という目的と「制度が補助する対象」がずれていないかを、最初に確認する必要があります。
注意:制度の”対象経費”と自社の目的のズレに注意
2026年の重要トピック:IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」へ
2026年度(令和8年度)から、これまでの「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」へと名称が変わりました。従来のIT化支援に加え、AI搭載ツールの導入支援が重点的に強化された点が大きな変更です。名称が変わっても、制度の所管(経済産業省)や実施機関(中小企業基盤整備機構)、そして「ホームページ制作費そのものは対象外」という基本的な考え方は引き継がれています。後ほど詳しく解説しますが、まずは「IT導入補助金=HPが作れる制度」という古い理解をアップデートしておくことが大切です。
監修者
小森 健
自社に合う制度の見つけ方
制度選びの出発点は、「ホームページで何を実現したいか」を言語化することです。会社案内中心のコーポレートサイトなのか、ECや予約システムを含む業務効率化なのか、チラシや展示会と組み合わせた販路開拓なのかによって、適した制度が変わります。販路開拓の一環なら持続化補助金、予約・在庫などの業務システム導入ならデジタル化・AI導入補助金、地域の店舗なら自治体助成金、といった具合です。次章から、それぞれの制度を順に見ていきましょう。
【国の制度①】小規模事業者持続化補助金(HP制作に最も使いやすい)

ホームページ制作費そのものを補助対象にしやすい代表格が、小規模事業者持続化補助金です。中小企業庁が所管し、日本商工会議所・全国商工会連合会が事務局を担う制度で、小規模事業者の販路開拓を幅広く支援します。申請のハードルが比較的低く、補助金活用の入門としても使いやすい制度です。
制度の概要(補助率と上限額)
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化の取り組みにかかる経費を補助する制度です。補助率は対象経費の3分の2が基本で、通常枠の補助上限額は50万円。賃上げや創業などの特例を組み合わせると、上限が最大250万円まで引き上げられる場合があります。対象は、業種ごとに従業員数の上限(常時使用する従業員の人数)が定められた「小規模事業者」です。年度内に複数回の公募が行われるのが通例で、回ごとに締切が設定されています。最新の公募回・締切・上限額は、必ず公式の公募要領で確認してください。
小規模事業者持続化補助金の主な特徴
- 補助率は対象経費の3分の2が基本
- 通常枠の上限は50万円、特例の組み合わせで最大250万円
- 販路開拓・業務効率化が目的の幅広い経費が対象
- 商工会議所・商工会の支援を受けながら申請する
ウェブサイト関連費のルール(1/4上限・単体申請は不可)
ホームページ制作費は、この補助金の「ウェブサイト関連費」という経費区分に分類されます。ここには重要なルールが2つあります。1つは、ウェブサイト関連費に計上できるのは補助金交付申請額の4分の1までという上限です(目安として最大50万円程度)。たとえば補助金額が50万円なら、ウェブサイト関連費に充てられる補助は最大12.5万円ほどになります。もう1つは、ウェブサイト関連費だけを目的とした申請はできないという点です。チラシ・展示会出展・広報など、ほかの販路開拓の取り組みと組み合わせて申請する必要があります。
ウェブサイト関連費の対象イメージ
ホームページやECサイト、システムの開発・構築・更新・改修・運用にかかる費用に加え、インターネット広告、SEO対策、販売促進用の動画作成などが対象例に含まれます。一方で、商品・サービスの宣伝や販路開拓につながらない、単なる会社案内のためのホームページは対象外とされる点に注意が必要です。
対象になるHP・なりにくいHP
同じホームページでも、補助の通りやすさは「販路開拓につながるか」で変わります。新規顧客の獲得や売上拡大を狙ったランディングページ、商品を販売するEC機能、予約獲得のための導線設計などは、販路開拓の文脈で説明しやすく対象になりやすい傾向です。反対に、既存の取引先向けの案内だけ、あるいは「とりあえず会社の名刺代わり」といった目的のサイトは、販路開拓の効果を説明しづらく、対象になりにくくなります。申請では「なぜそのサイトが売上や新規顧客につながるのか」を計画書で具体的に示すことが鍵です。
対象になりやすいHP / なりにくいHP(持続化補助金)
- なりやすい:新規顧客獲得のLP、EC機能、予約獲得の導線など、販路開拓に直結するもの
- なりにくい:既存の取引先向け案内のみ、名刺代わりの会社案内サイト
- ポイント:「なぜ売上・新規顧客につながるのか」を計画書で具体的に示せるか
申請の要件(商工会議所の支援計画書など)
この補助金では、商工会議所または商工会が発行する「事業支援計画書」が申請に必要です。発行までに1〜2週間程度かかることが多いため、締切から逆算して早めに相談するのが鉄則です。あわせて、経営計画書や補助事業計画書を作成し、自社の強みを活かした販路開拓のストーリーを示します。採択率は公募回によって変動しますが、ほかの大型補助金と比べると比較的高めとされています。とはいえ計画書の質で差がつくため、商工会議所の無料相談を積極的に活用しましょう。
監修者
桐生 沙耶
【国の制度②】デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

続いて、もう一つの代表的な国の制度であるデジタル化・AI導入補助金です。前述のとおり、2026年度から旧IT導入補助金が名称変更されたもので、誤解が多い制度でもあります。ホームページ制作を考えている方は、「何が対象で何が対象外か」を正しく理解しておきましょう。
2026年の名称変更とAI重点化
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に、その費用の一部を補助する制度です。経済産業省が所管し、中小企業基盤整備機構が実施します。2026年度からは名称に「AI」が加わり、生成AIを含むAI機能搭載ツールの導入が補助対象として明確に位置づけられました。会計ソフト、受発注・在庫管理システム、POSレジ、予約管理、セキュリティ対策ツールなど、幅広い業務用ITツールが対象です。過去に受給した事業者が再申請する際の賃上げ要件が厳格化されるなど、より高い生産性向上が求められる設計になっています。
ホームページ制作”単体”は対象外という重要ポイント
最も注意したいのが、この補助金ではホームページ制作費そのものは原則として対象外だという点です。あくまで補助の対象は、公式に登録された「ITツール」の導入費用であり、デザインやコーディングといったホームページの制作費は補助されません。ECサイトの制作も基本的には対象外で、新規にEC(商品出品・販売)機能を実装する一部のケースに限って例外的に対象となることがある程度です。「IT導入補助金でホームページを作る」という理解は、現在の制度では正確ではないため注意しましょう。
この補助金で”対象外”になりやすいもの
予約・CRM・AIチャットボット等の登録ITツールには使える
一方で、ホームページに関連する「ツール」であれば対象になり得ます。たとえば、予約管理システム、顧客管理(CRM)ツール、AIチャットボットなどは、提供事業者がIT導入支援事業者として登録し、対象ITツールとして認められていれば補助対象になる可能性があります。つまり「サイトの見た目を作る費用」ではなく「サイトに組み込む業務効率化の仕組み」が対象、というイメージです。導入したいツールが対象に登録されているかは、公式の検索や支援事業者への確認で調べられます。
監修者
遠野 涼真
申請の流れ(IT導入支援事業者と共同)
この補助金の申請は、認定された「IT導入支援事業者(ベンダー)」と共同で行うのが特徴です。導入したいツールを扱う支援事業者を選び、事業計画の作成や申請手続きを一緒に進めます。重要なのは、交付決定の前に契約・購入したツールは補助対象にならないという点です。申請から採択・交付決定までは通常1〜数か月かかるため、スケジュールに余裕を持って動く必要があります。年度内に複数回の公募が予定されていますが、最新の公募スケジュールは必ず公式サイトで確認してください。
【国の制度③】大型補助金(ものづくり・新事業進出など)とHP制作
持続化補助金やデジタル化・AI導入補助金のほかにも、ものづくり補助金や新事業進出補助金(旧・事業再構築補助金)といった大型の補助金があります。これらは設備投資や新規事業への挑戦を支援する制度で、補助額も大きい一方、ホームページ制作が主目的の場合には使いにくい性質を持ちます。位置づけを正しく理解しておきましょう。
国の主な制度の使い分け(早見)
- HP制作費そのもの → 小規模事業者持続化補助金(ウェブサイト関連費)
- 予約・CRM・AIチャットボット等のITツール → デジタル化・AI導入補助金
- 設備投資・新事業への大規模投資 → ものづくり/新事業進出補助金
- 地域の店舗・小規模事業者 → 自治体の助成金もチェック
ものづくり補助金の位置づけ
ものづくり補助金は、革新的な製品・サービスの開発や生産性向上に必要な、機械装置・システムなどの設備投資を支援する制度です。補助対象経費の大部分は機械装置やシステム構築費で、設備投資による明確な生産性向上が求められます。ホームページ単体の制作はこの補助金の主目的ではなく、あくまで大きな設備投資や開発計画に付随する範囲でしか関係しません。「集客サイトを作りたい」という目的でものづくり補助金を狙うのは、制度の趣旨とかみ合わないケースがほとんどです。
新事業進出補助金(旧・事業再構築補助金)の位置づけ
かつての事業再構築補助金は、近年は新事業進出補助金などへと制度が再編されてきました。これらは、既存事業とは異なる新市場・新事業への進出にかかる大規模な設備投資を支援する制度で、補助上限額も大きく設定されています。新しい事業領域に挑戦する計画の中でWebサイトが必要になる、といった文脈であれば関係する可能性はありますが、やはりホームページ制作そのものが主目的の補助金ではありません。これらの大型補助金は、まず「新事業・設備投資の計画ありき」で検討するものと考えておきましょう。
HP制作が主目的だと使いにくい理由
大型補助金がHP制作に使いにくいのは、制度の目的が「設備投資」や「新事業への転換」にあり、審査でもその点が重視されるためです。加えて、これらの補助金には重複受給の制限があり、一定期間内に複数の大型補助金に採択されることはできません。複数に採択された場合は、いずれか一つを選んで交付申請する必要があります。ホームページ制作のためだけに大型補助金を申請するのは現実的でないことが多く、まずは持続化補助金や自治体の助成金から検討するのが基本路線です。
監修者
小森 健
【自治体の制度】東京都・区市町村のホームページ関連助成金
国の制度に加えて、見落とせないのが自治体(都道府県・区市町村)独自の助成金です。上限額は国の補助金より小さめのことが多い一方、地域の事業者向けに使いやすく設計されていることがあります。特に地域密着の店舗や小規模事業者にとっては、有力な選択肢になり得ます。
自治体助成金の特徴(地域・期間限定)
自治体の助成金は、その地域に事業所を構える事業者などを対象に、ホームページやSNSの新設・更新費用を補助するものが見られます。国の補助金に比べて申請書類がシンプルなことや、地域の振興を目的としているぶん間口が広いことが特徴です。ただし、対象エリアや対象者、公募期間が限定的で、予算枠に達すると受付終了になることもあります。毎年度実施されている制度も多いので、今年度の募集がなくても、翌年度に向けて情報をチェックしておく価値があります。
東京都・東京都中小企業振興公社の助成
東京都では、東京都中小企業振興公社などを通じて、都内中小企業向けのさまざまな助成事業が実施されています。販路拡大やPR、設備投資などをテーマにした助成があり、年度ごとに募集要項が公開されます。ホームページやデジタル化に関連する経費が対象に含まれる助成もありますが、テーマや要件は制度によって異なります。都の助成は人気が高く、申込期間が短く設定されることもあるため、公社の公式サイトで募集情報をこまめに確認するのがおすすめです。
区市町村の例(大田区・杉並区など)
区市町村レベルでも、ホームページに関連する制度が見られます。たとえば大田区では、区内の商店会や個店を対象とした「商店街戦略的PR事業費補助金」があり、ホームページやSNSの新設・更新、動画制作などの費用を補助する枠が設けられています。また杉並区では、創業を支援する「創業スタートアップ助成事業」の中にホームページ等の作成助成(限度額の目安20万円)が含まれています。このように、同じ23区内でも制度の有無や内容は自治体ごとに大きく異なります。なお、大田区エリアで制作会社をお探しの方は、大田区のホームページ制作会社おすすめ10選もあわせてご覧ください。
自治体のホームページ関連助成の例(2026年時点・要最新確認)
- 大田区:商店街戦略的PR事業費補助金(商店会・個店向け。WEB媒体制作・更新、動画なども対象枠あり)
- 杉並区:創業スタートアップ助成事業(ホームページ等作成の助成、限度額の目安20万円)
- 東京都中小企業振興公社:販路拡大・PR・設備投資など各種の助成事業
自分の地域の制度を探す方法
自治体の制度は数が多く、内容も頻繁に変わるため、自分で最新情報を探せるようにしておくと安心です。中小企業向けの情報サイト「J-Net21(中小機構)」や、各種の補助金ポータルサイトでは、地域や目的から制度を検索できます。あわせて、お住まいの自治体(区市町村)の産業振興課などの窓口や公式サイトを確認すると、地域限定の制度を見つけやすくなります。気になる制度が見つかったら、必ず公募要領で対象・上限・期間を確認しましょう。
監修者
桐生 沙耶
補助金・助成金を使うときの注意点
制度を活用する前に、補助金・助成金に共通して押さえておきたい注意点があります。これらを知らずに進めると、「対象だと思っていたのに補助されなかった」「資金繰りが回らなかった」という事態になりかねません。採択されてから後悔しないために、申請前に次の点を必ず確認しておきましょう。
交付決定「前」の契約・発注は対象外
最も多い失敗が、交付決定を受ける前に制作を契約・発注してしまうことです。ほとんどの補助金では、交付決定の日より前に契約・発注・支払いをした経費は補助対象になりません。「早く作りたいから」と先に発注してしまうと、せっかく採択されても、その費用が対象外になってしまいます。制作会社に依頼するタイミングは、必ず交付決定のあとに設定する必要があります。スケジュールを組むときは、この順序を最優先で意識しましょう。
申請前の必須チェック
- 交付決定の「前」に契約・発注・支払いをしていないか
- 補助対象・対象外の経費を分けて見積もっているか
- 制作費を全額立て替えられる資金を用意できるか
- 公募期間・締切に間に合うスケジュールか
後払い(精算払い)が原則:資金繰りに注意
補助金・助成金は、原則として後払い(精算払い)です。つまり、いったん自社でホームページ制作費を全額支払い、事業の完了後に実績報告を行ってから、認められた金額が後で振り込まれます。さらに補助率は全額ではなく、たとえば3分の2であれば残りの3分の1は自己負担です。「補助金が出るから手元資金がなくても大丈夫」という考えは危険で、いったんは全額を立て替えられるだけの資金計画が必要になります。資金繰りを踏まえた計画づくりを心がけましょう。
重複受給の制限・実績報告の義務
複数の補助金を同じ経費に重ねて使うことは、原則としてできません。大型補助金では、一定期間内の重複採択が制限されており、複数に採択された場合は一つを選ぶ必要があります。また、補助金は受け取って終わりではなく、事業完了後の実績報告や、その後の効果報告が義務づけられているのが一般的です。報告を怠ったり、不正が判明したりすると、交付決定の取り消しや返還を求められることもあります。申請前に、報告までの一連の義務を理解しておきましょう。
キャッシュバック・キックバックは不正受給にあたる
補助金を巡っては、ベンダーやコンサルタントが「補助金で導入すれば、あとで一部を現金でお返しします」などと、キャッシュバックやキックバックを持ちかける事例が問題になっています。こうした行為は補助金の不正受給にあたり、決して行ってはいけません。発覚すれば、交付決定の取り消しや補助金の返還、加算金の支払い、今後の申請ができなくなるなど、重いペナルティが科されます。これは持ちかけたベンダーだけでなく、応じた事業者側も不正に加担したとみなされます。「補助金分が実質安くなる」といったうまい話には乗らず、必ず正規の手続きで適正に活用してください。
「補助金ありき」で制作目的を見失わない
補助金は魅力的ですが、「補助金が使えるから」という理由だけで制作内容を決めるのは本末転倒です。本来の目的は、ホームページで集客や売上につなげること。制度の対象に無理に合わせて不要な機能を盛り込んだり、逆に補助の範囲に縛られて必要な投資をためらったりすると、成果の出ないサイトになりかねません。あくまで「自社に必要なサイト」を軸に置き、その実現を後押しする手段として補助金を位置づける視点が大切です。
監修者
小森 健
補助金を活用したホームページ制作の進め方
ここまでの内容を踏まえ、補助金を活用してホームページを制作する場合の進め方を、4つのステップで整理します。補助金活用は、思い立ってすぐ制作を始めるのではなく、制度選び・相談・申請・交付決定を経てから制作に入る流れになります。順序を意識して動くことが、対象外による失敗を避ける最大のポイントです。
STEP1:目的と制度の当たりをつける
まずは「ホームページで何を達成したいか」を明確にし、それに合いそうな制度の当たりをつけます。販路開拓の一環なら小規模事業者持続化補助金、予約やCRMなどのツール導入を伴うならデジタル化・AI導入補助金、地域の店舗なら自治体助成金、といった具合です。この段階で、制度の対象経費・上限額・公募スケジュールをざっと把握しておくと、その後の動きがスムーズになります。複数の制度が候補になる場合は、自社の目的に最も近いものを軸に検討します。
補助金活用の流れ(早見)
- ① 目的を決め、合いそうな制度の当たりをつける
- ② 商工会議所・専門家・制作会社に早めに相談
- ③ 事業計画と、費目を分けた見積もりを準備
- ④ 交付決定の「後」に制作・支払い → 実績報告 → 入金
STEP2:商工会議所・専門家・制作会社に相談
制度の当たりがついたら、早めに相談先を確保します。持続化補助金なら商工会議所・商工会が頼れる相談先で、事業支援計画書の発行にも時間がかかるため、締切から逆算して早めに動きましょう。制度の要件が複雑な場合は、中小企業診断士などの専門家に相談する選択肢もあります。あわせて、制作会社にも「補助金を活用したい」と早い段階で伝えておくと、対象になりやすいサイト設計や、交付決定後の制作スケジュールを前提に進めてもらえます。
STEP3:事業計画と見積もりを準備
申請には、事業計画書や経費の見積もりが必要です。計画書では、「自社の強みを活かして、どんな販路開拓を行い、その中でホームページがどう役立つのか」を具体的に示します。単に「ホームページを作る」ではなく、「誰に・どう届けて・どんな成果を狙うのか」というストーリーが審査では重視されます。見積もりは、補助対象になる経費とならない経費を分けて整理しておくと、申請書の作成がスムーズです。制作会社に費目を分けた見積もりを依頼しておくとよいでしょう。
STEP4:交付決定後に制作・実績報告
申請が採択され、交付決定の通知を受け取ってから、いよいよ制作の契約・発注に進みます。繰り返しになりますが、交付決定前に発注した費用は対象外です。制作が完了したら、補助事業の実績報告を行い、対象として認められた金額が後日振り込まれます。報告には、契約書・請求書・支払いの証憑などの書類が必要になるため、制作の過程で発生する書類はきちんと保管しておきましょう。事業完了後も、効果報告が求められる場合があります。
監修者
遠野 涼真
補助金活用でよくある失敗と対策
補助金を使ったホームページ制作では、いくつか典型的な失敗パターンがあります。これらは特別なものではなく、毎年多くの事業者が同じところでつまずいています。逆にいえば、事前に知っておくだけで多くは防げます。ここでは代表的な失敗と、その対策をセットで整理しておきましょう。
公募期間に間に合わない
補助金には公募期間と締切があり、人気の制度は受付期間が短いこともあります。特に持続化補助金では、商工会議所の事業支援計画書の発行に1〜2週間かかるため、締切間際に動き出すと間に合いません。対策は、とにかく早めに動くこと。年度の早い段階で公募スケジュールを確認し、締切の3週間ほど前には相談を始めておくと安心です。「思い立ってから準備」では遅いケースが多いと心得ておきましょう。
対象外の経費を計上してしまう
「対象だと思っていた経費が、実は対象外だった」という失敗もよくあります。たとえば、汎用性の高いパソコンやプリンターなどの備品、補助対象外のサイト制作費、交付決定前に発注した費用などが該当します。対策は、公募要領の「対象経費」「対象外経費」を丁寧に読み込み、判断に迷うものは事務局や専門家に確認することです。見積もりの段階で費目を分け、どれが補助対象かを制作会社と一緒に整理しておくと、計上ミスを防げます。
よくある失敗と対策(まとめ)
- 公募に間に合わない → 締切の3週間前には相談を始める
- 対象外の経費を計上 → 公募要領を確認し、費目を分けて整理
- 計画書のストーリーが弱い → 強み・数字・根拠で具体化する
計画書の「販路開拓ストーリー」が弱い
持続化補助金などでは、計画書の中身が採択を大きく左右します。よくある不採択の原因が、「ホームページを作る」という手段だけが書かれ、その先の販路開拓のストーリーが弱いケースです。審査員が見たいのは、自社の強みをどう活かし、どの顧客に、どんな方法でアプローチし、どんな成果を見込むのか、という具体性です。対策として、商工会議所や専門家の助言を受けながら、数字や根拠を交えて説得力のある計画に仕上げましょう。
ホームページ制作の補助金に関するよくある質問
最後に、補助金・助成金を使ったホームページ制作について、これから検討する方からよく寄せられる質問をまとめました。個別の可否は制度や事業内容、申請するタイミングによって変わるため、最終的には各制度の公式情報や、商工会議所・専門家への確認をおすすめします。
Q1. ホームページ制作費はどの補助金が一番使いやすい?
ホームページ制作費そのものを補助対象にしやすいのは、小規模事業者持続化補助金の「ウェブサイト関連費」と、自治体独自のホームページ関連助成金です。ただし持続化補助金は、ウェブサイト関連費に1/4の上限があり、単体での申請はできません。地域や事業内容によっては自治体の助成金が使いやすい場合もあるため、両方を視野に入れて検討するのがおすすめです。
Q2. IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)でHPは作れない?
ホームページのデザイン・制作費そのものは、原則として対象外です。この制度の対象は、公式に登録されたITツール(予約管理・CRM・会計・在庫管理・AIチャットボットなど)の導入費用です。サイトに組み込む業務効率化のツールには使える可能性がありますが、「サイト本体を作る費用」には使えないと理解しておきましょう。
Q3. 補助金はいつ振り込まれる?
多くの補助金は後払い(精算払い)です。いったん自社で全額を支払い、事業完了後の実績報告を経てから、認められた金額が振り込まれます。申請から振込までには数か月以上かかることもあるため、制作費を一時的に立て替えられる資金計画が必要です。「補助金が出るから手元資金がなくても大丈夫」とは考えないようにしましょう。
Q4. 個人事業主でも申請できる?
制度によりますが、小規模事業者持続化補助金などは、要件を満たす個人事業主も対象です。ただし、開業届を出していても申請時点で事業を実際に開始していない場合は対象外になるなど、細かな条件があります。自治体の助成金も、対象者の定義は制度ごとに異なります。自社が対象に当てはまるかは、各制度の公募要領で必ず確認してください。
Q5. 申請は自分でできる?それとも専門家に頼むべき?
自分で申請することも可能ですが、計画書の作成には一定のノウハウが必要です。持続化補助金であれば、まず商工会議所・商工会の無料相談を活用するのが基本です。要件が複雑な制度や、採択率を高めたい場合は、中小企業診断士などの専門家に相談する選択肢もあります。制作会社にも早めに相談しておくと、補助金の流れに合わせた進行がしやすくなります。
Q6. 制作会社が補助金の申請を代行してくれる?
制作会社の対応範囲はさまざまです。補助金の申請そのもの(書類作成・代行)は、専門家や認定された支援事業者の領域になることが多く、制作会社はあくまで「補助金を見据えたサイト設計」や「対象になりやすい見積もりの提示」といった形で関わるのが一般的です。補助金の活用を考えている場合は、最初に「補助金を使いたい」と伝え、どこまで対応してもらえるかを確認しておきましょう。
Q7. 一度落ちたら再申請はできない?
多くの補助金は、不採択になっても次回以降の公募で再申請が可能です。年度内に複数回の公募がある制度も多く、計画書を改善して再チャレンジできます。不採択の場合は、可能であれば審査の観点を踏まえて計画書を見直し、販路開拓のストーリーや具体性を強化してから再申請するとよいでしょう。あきらめずに改善を重ねることが、採択への近道です。
ピークスマーケティングのHP制作と補助金活用について

当社ピークスマーケティングは、東京都大田区に拠点を置く制作会社です。ホームページ制作やLP制作に加え、広告運用・SEO・マーケティング支援まで幅広く手がけています。さらに、デジタル化・AI導入補助金のIT導入支援事業者(登録ベンダー)であり、AI・SaaSツールの提供も行っているため、補助金を見据えたご相談にも対応できます。
補助金を見据えたサイト設計のご相談
補助金を活用する場合、申請の段階から「対象になりやすいサイト設計」や「費目を分けた見積もり」を意識しておくと、その後の手続きがスムーズになります。当社では、お客様の目的をうかがったうえで、販路開拓につながるサイト構成のご提案や、補助金の流れ(交付決定後の着手)を前提とした制作スケジュールの調整にも対応します。なお、小規模事業者持続化補助金などの申請書類の作成・代行は専門家や支援機関の領域となるため、必要に応じて相談先の検討もご一緒に考えます。
AI・SaaSツールの導入は登録ベンダーとして補助金活用を支援
当社は、デジタル化・AI導入補助金のIT導入支援事業者(登録ベンダー)であり、AI・SaaSツールの提供も行っています。前述のとおりホームページの制作費そのものはこの補助金の対象外ですが、予約管理やCRM、AIチャットボットといった業務効率化のためのSaaS・AIツールの導入であれば、登録ベンダーとして補助金の活用を直接サポートできます。「集客はホームページ、業務効率化はSaaS・AIツール」と役割を分け、使える制度を適正に活用しながら全体を設計するご提案が可能です。なお、当社は補助金分のキャッシュバックやキックバックといった不正につながる行為は一切行わず、正規の手続きでの活用のみをご支援します。
ピークスマーケティングの特徴
- 東京都大田区に拠点。品川区など近隣エリアの事業者にも対応
- デジタル化・AI導入補助金のIT導入支援事業者(登録ベンダー)/AI・SaaSツール提供
- 補助金を見据えたサイト設計・費目を分けた見積もりに対応
- 制作からLP・広告運用・SEOまで一気通貫でサポート
- 幅広い業種のサイト制作実績を多数保有(累計300以上)
制作から集客まで一気通貫で対応
当社の強みは、ホームページを「作る」だけでなく、公開後にどう集客し、成果につなげるかまで一貫してご相談いただける点です。これまで幅広い業種のサイト制作実績を多数持ち、累計300以上のサイト構築に携わってきました。補助金を活用して作ったサイトを「作って終わり」にせず、広告運用やSEOまで含めて成果を出すところまで、ワンストップでサポートします。品川区・大田区をはじめ、近隣エリアの事業者さまからのご相談もお待ちしています。
監修者
小森 健
まとめ:制度を正しく理解して、無理なくHP制作に活用しよう
ホームページ制作に使える補助金・助成金は確かにありますが、「どの制度でもHP制作費が自由に補助される」わけではありません。制度ごとの対象を正しく理解し、自社の目的に合うものを選ぶことが、補助金活用の第一歩です。最後に、本記事の要点を振り返っておきましょう。
本記事のポイント
- HP制作費そのものに使いやすいのは持続化補助金と自治体助成金
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)はHP制作単体は対象外
- 大型補助金(ものづくり・新事業進出等)はHPが主目的だと使いにくい
- 交付決定「前」の発注は対象外、補助金は後払いが原則
- 公募期間・対象経費・計画書の質が採択を左右する
- 制度内容は毎年変わるため、必ず公式の公募要領で最新情報を確認
ホームページ制作の費用相場や進め方とあわせて検討したい方は、総合ガイドや費用ガイドもご覧ください。補助金の活用も含め、無理のない計画づくりに役立ちます。
補助金を見据えたホームページ制作や、公開後の集客までご検討の方は、お気軽に当社のお問い合わせフォーム、または見積もり依頼フォームからご相談ください。
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本記事の監修者
ピークスマーケティング株式会社
代表取締役 小森 健
本記事の監修者
ピークスマーケティング株式会社 代表取締役
小森 健
ベンチャーから大手広告代理店まで、Web制作・デジタルマーケティング領域に従事。
複雑なWebサイト制作、LP制作、比較サイト制作、ECサイト構築、動画制作を中心に、情報設計・デザイントンマナ設計を起点としたフロントエンド設計・CSS・PHP実装まで一貫して対応。
本記事では、Web制作の実務経験をもとに、内容の正確性と実務での再現性の観点から監修を行っています。
