トンマナとは?決めるべき項目と精度が上がるポイントを解説!

デザイン知識

デザインやライティングを行っていると、必ず話題に上がるのが「トンマナ」です。トンマナが正しく共有されているかどうかで、ブランドイメージの統一感や、企業がユーザーに対するメッセージの伝わり方に大きな差が生まれます。

ですが、そもそもトンマナとはどのようなものか、そして、どのように決めていけばいいのか、しっかりと理解できていない人もいるのではないでしょうか。

ここではトンマナが担う役割や効果、設定する際のポイントなどを解説します。デザインやライティングを始めた方をはじめ、トンマナについて理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。

トンマナとは?


「トンマナとは、トーン(調子)とマナー(様式)を掛け合わせた略語です。デザインやスタイル、文言などに一貫性をもたせるためのルールのことです。

元々は広告・出版業界で生まれた言葉ですが、近年では企業のブランド戦略やWebデザインの分野でも幅広く使用されています。

トンマナは、商品およびサービスの世界観や、企業のブランドイメージをユーザーにわかりやすく伝えるために作成されます。

例えばコカコーラなら赤、クロネコヤマトなら黄色と黒と、「この会社といえばこのデザイン」というイメージがすぐにできるデザインは、トンマナが成功しているといえます。

このように、企業および商品やサービスに対してのブランドや信頼性を高めるためには、トンマナの統一は不可欠といえます。

トンマナを設定する理由とは?役割や効果


トンマナについての大まかなイメージが掴めたところで、次にトンマナを設定する理由の詳細を、役割や効果と併せてお伝えします。

トンマナを設定する主な理由は次のとおりです。

  • ユーザーに対してブランディングできる
  • 制作メンバー間でイメージを共有できる
  • 制作工数の削減やクオリティの安定化を図れる

これらの理由やメリットがあるからこそ、企業がトンマナを設定し統一させるのは、不可欠なことなのです。それでは個別に内容を見てみましょう。

ユーザーに対してブランディングができる

トンマナを設定することで、企業および商品やサービスのブランディングが強化されます。なぜなら、一貫性のないビジュアルや世界観が発信されるからです。結果、企業に対するユーザーの認知度が低下する結果、集客力や売り上げが低下する可能性があります。

統一された世界観を作るには、トンマナを適切に設定して商品やサービスの広告展開や、コンテンツ作成をすることは必須といえます。ユーザーにひと目でどの企業のものかを認識してもらう必要があるからです。

統一された世界観が作れれば、ユーザーに商品やサービスを自然にイメージしてもらえる結果、企業のブランディングに繋がります。

制作メンバー間でイメージを共有できる

トンマナを設定することで、制作メンバー間でイメージを共有できるのは大きなメリットといえます。統一されたイメージが制作メンバー間で共有されることで、方向性やゴールが定まるからです。

トンマナの設定がなければ、制作メンバーがそれぞれの完成図を想定するため、成果物がバラバラになってしまいます。結果、商品やサービスの統一性が保てません。

トンマナによる共通のビジョンがあることで、メンバー間におけるコミュニケーションが円滑になる点も大きなメリットでしょう。

例えば、ウェブサイトを新規に立ち上げるとします。トンマナがあればメンバーが一貫した方向性で作業を進められます。ライターやデザイナーなどの関係者が、自分の役割を明確に理解しているため、連携がスムーズにできるからです。

制作工数の削減やクオリティの安定化を図れる

トンマナを設定することで制作工数の削減ができます。作業を進めるにあたって判断の工数が削減できるからです。トンマナを設定することは、事前にいわば「設計図」が用意されている状況といえます。

設計図があることにより、個々のデザインやライティングをする際に、毎回ゼロから方向性やゴールを決める必要がありません。加えて、明確な指針があるため作り直しや修正などの工数も削減できます。結果、作業効率が大幅に向上します。

またトンマナを設定することは、クオリティの安定化にもつながります。主な理由は、統一性と一貫性の確保や、判断基準が明確化できるからです。

例えば、トンマナを設定せずに、複数のメンバーにWebサイトの記事執筆を任せたとしましょう。方向性やゴールが定まっていないと、書き手により記事の文体は大きく変わります。

同じWebサイトなのに、記事ごとで言葉の選び方や表現方法、口調などが変われば、ユーザーは強い違和感を覚えます。もちろんブランディングにも悪影響を及ぼすでしょう。

トンマナが揃っていれば、品質が安定されているので違和感なく記事を読み進めることができます。

トンマナを設定する流れ


トンマナを設定する理由やメリットを理解したら、次は実際にトンマナを設定する流れを見てみましょう。トンマナを設定しても、不適切な内容なら意味はありません。

正しくトンマナを設定する流れは次のとおりです。

  1. 目的を決める
  2. ターゲットを決める
  3. デザインのトンマナを決める
  4. 文章のトンマナを決める

適切なトンマナの設定の流れを押さえれば、一貫性のあるブランドイメージを確立できるでしょう。それでは個別に内容をお伝えします。

目的を決める

最初に何を目的にトンマナを設定するかを決めなければなりません。トンマナ設定において目的を明確にできれば、その後の作業を円滑に進められ、効果的なトンマナを導きだせるからです。

例えば、ブランディングを目的にするのなら、企業ブランドおよび商品やサービスの世界観をしっかり伝えることが不可欠です。トンマナを設定する際には、評判や評価に与える要素を考えて決めることが求められます。

他にもコンバージョン数の向上を目的とするのなら、多くのユーザーの心を掴み、購買行動を促すような要素が重要です。

以上のように、何を目的にするかによってトンマナの重要な要素が変わるので、必ず最初に目的を決めておきましょう。

ターゲットを決める

目的が決まったのなら、次にターゲットを決めましょう。どのターゲットに商品やサービスを訴求するのかを、次の要素を基本に考えましょう。

  • 年齢
  • 性別
  • 住んでいる地域
  • ライフスタイル
  • 悩みや課題…など

例えば、葉酸サプリのWebページを作る際は、ターゲットは初めて妊娠した20~30代の女性になるでしょう。

ターゲットを決めるときは、具体的に絞らなければいけません。多様化している現在の社会では、すべての人に受け入れられる商品やサービスを作ることは困難だからです。

例えば、単に女性を狙っただけの美容室のチラシを配っても、競合店との違いが伝えきれず、誰にも刺さらずに失敗します。

ターゲットを具体的にすれば、設定したターゲットに刺さる商品やサービスが作りやすくなります。結果、刺さる層に適切にアプローチできるため、層を幅広く狙うよりも顧客は増えるわけです。

デザインのトンマナを決める

ターゲットを具体化したなら、デザインのトンマナを決めましょう。デザインは全体的なレイアウトが、統一されている必要があります。コンテンツごとにレイアウトが異なれば、ユーザーは内容がわかり辛くなり、興味を失うからです。

例えば、法律事務所のホームページのトップページがシックな青色ベースのデザインなのに、違うページを見るとピンク色だったら、おそらく訪問者はビックリして離脱するでしょう。

そのまま読み進めてもらえても、イマイチ信頼できずに問い合わせを控える可能性が高いといえます。商品やサービスのコンセプトや雰囲気に一貫性をもたせるためにも、デザインの統一は重要なのです。

デザインのトンマナで決めるべき主な内容は次のとおりです。

  • レイアウト
  • 配色
  • 余白
  • フォント
  • イラストなどの素材

これらの要素については、後ほど詳細をお伝えします。

文章のトンマナを決める

文章のトンマナをしっかりと決めましょう。コンテンツ全体を通じた世界観を保つためには欠かせません。

ターゲットやデザインが統一されていても、文章のトンマナがバラバラだったら違和感を覚えます。読者が最初に見たページと別のページの文体が違うからです。

トンマナが異なるだけで、文章に対する集中力が失われ、読者のなかで一貫したイメージが形成されなくなります。

文章のトンマナを設定し、一貫性と統一性が保たれることで、そのコンテンツは信頼されます。加えて、当該コンテンツからの情報が理解されやすくもなるでしょう。

他にも、文書のトンマナを決めておくことで執筆ルールが明確なり、書き手が変わっても安定した品質の記事作成ができるメリットもあります。

トンマナ設定の注意点と効果を出すポイント


先ほどお伝えした目標やターゲットなどのトンマナを、間違った設定をすれば一貫性が保てなくなり効果は半減します。

ここからはトンマナ設定の注意点や効果を出すためのポイントをお伝えします。取り上げる項目は次のとおりです。

  • 配色
  • 素材の形
  • 余白
  • フォント
  • 文末表現や記号の使用
  • 文章の構成
  • 一文や一行の文字数
  • 使用する語彙・しない語彙

各項目に対して注意点やポイントを押さえてトンマナを設定できれば、ブランディングの確立に成功できるでしょう。それでは個別に詳細をお伝えします。

配色

配色を決めるにおいては、当該企業のブランドやサービスのコンセプトに合せたカラーを意識して選びましょう。コンテンツの印象を決める配色は、特に重要な要素です。基本的には次の割合で3つの色を決めるとバランスが良いとされています。

  • ベースカラー…70%
  • メインカラー…25%
  • アクセントカラー…5%

使う色が多すぎると、トンマナの一貫性がなくなりますし、どこがポイントなのかが伝わらなくなるので注意してください。配色は3色ほどに抑えて、読みやすいコンテンツ作成を心がけましょう。

インパクトを出すための赤・青・黄などの原色は、目立ちすぎるというデメリットがあります。原色ばかりを使うと、コンテンツのどの部分を重要視させたいのかがわからず、差別化ができない恐れがあります。ですので、使い方には注意が必要です。

素材の形

広告物などのコンテンツには、イラストやアイコンなどの素材の形にもトンマナを設定します。素材のトンマナを設定しなければ、コンテンツ全体のデザインにばらつきがでます。ですので、ユーザーは何が重要なのかがわかりません。

コンテンツ内に挿入するイラストやアイコンなどのデザインが統一されていれば、ユーザーは情報を理解しやすくなります。

アイコンの形状はブランドのコンセプトに合せた形状のものを用意します。例えば、すべてのアイコンは丸みを帯びた四角形の中に描くようにすると決めることで、すべて一貫したデザインを打ち出せます。

画像の素材を使う場合は、人物やロゴ、アイコンなどの融和性も考慮し、コンテンツの世界観に合うようにトンマナを設定しましょう。

余白

余白とはホワイトスペースとも呼ばれ、デザイン上に何も置かれていない空間をいいます。

余白はデザインのトンマナを設定する上で重要になります。ユーザーにとって快適なデザインを作成するには、余白が欠かせない要素になるからです。

大学教授の論文を例に出してみましょう。論文は余白が少なく文字がビッシリ詰め込まれていて、読むことのハードルが非常に高く感じてしまいます。よほどの関心や必要性がなければ、1ページも読まずに冊子を閉じるでしょう。

文字や画像がぎっしり詰め込まれたコンテンツは、重圧感が出るので見づらいものです。適度な余白を設けることで、スッキリまとまった印象を受けるため、見やすくなりユーザーの理解度も高まります。

フォント

文字フォントはユーザーの印象に大きな影響を与えるため、トンマナを設定しておく必要があります。単なる文字の太さや大きさの違いでも、印象は大きく変わるものです。

世の中には3,000種類以上のフォントがあり、それぞれが異なる印象を与えます。例えば、明朝体は見たときにフォーマルな印象を与えます。法律事務所の広告など、信頼性や権威を伝えるコンテンツに適しているでしょう。

丸ゴシック体であれば、やわらかで親しみある印象を与えます。カジュアルさや軽快さを演出できるため、音楽や映画業界などのコンテンツと相性が良いです。

コンセプトに合うものを見つけるためには、それぞれのフォントが与える印象を事前に把握した上での試行錯誤が必要になります。

文末表現や記号の使用

文末表現はライティングにおいて重要な要素であり、文末表現により文章の書き方が決まります。文末表現は「ですます調」や「である調」などに統一しなければなりません。

バラバラの文末表現が混在する文章は読みづらく、読者にとってストレスになります。例えば、「会議は午後からにします。参加者は全員で。資料は事前に配布します。何か質問はありますか?」

例文は様々な文末表現が混在しているため読みにくいですよね。ライティングを始める際は、最初にどの文末表現が適切かを考えておくことが大切です。

記号に関しても統一性をもたせないといけません。まずは使用できる記号の種類を決めておくことです。加えて、コンセプトに合った記号を選定する必要があります。

読者に違和感を与えないために、記号は半角・全角のどちらかに統一しましょう。また「」の『』や[]などの使用基準の統一も必要になります。

文章の構成

コンテンツの文章構成を指定しましょう。具体的には、文章全体の構成や画像の配置場所などを決めます。

例えば、Webページであれば次のようなルールを設定することが多いです。

  • リード文やまとめの箇所は〇〇〇文字まで
  • H2は〇〇〇文字まで
  • H3の文字数は〇〇〇以上
  • 見出しの下には画像を必ず挿入
  • 階層はH5まで…など

以上のような文章構成におけるルールを決めて、ライターや編集者に共有すると統一感あるWebサイトができます。

また「1ページ内に使用する画像枚数」や「内部リンクを設定する箇所」、「画像の下は1行空ける」などの細かなルールも決めましょう。細かな内容のベースがあれば、ライターや編集者が判断に迷わなくなるため、スムーズに執筆ができます。

一文や一行の文字数

文章の構成と併せて、一文や一行の文字数を決めましょう。それぞれの文字数を決めておけば、ページや項目ごとの情報の偏りを防ぐことができるからです。

読みやすいコンテンツを作るには、適度に文章を区切る必要があります。一般的に見やすいとされる一文の長さは60文字以下といわれています。一文が80文字や100文字となると、情報量が多いため、何を伝えたいのかが読者にわかりにくくなるからです。

実際に、このページも基本的に一文を60文字以内にして、見ている方が読みやすいようにしています。

また一行の適切な文字数は、媒体により変わってきます。本などの紙媒体であれば200から300文字が目安となるでしょう。Webページがスマートフォンで見られることが多いのなら、1行は100文字以内にすると見やすいといわれています。

以上のように、媒体にあった文字数を設定することが大事です。

使用する語彙・しない語彙

使用する語彙(ごい)・しない語彙も決めましょう。語彙とは、すべての単語を指します。具体的には、個人が持っている言葉の引き出しや、ある集団が共有している言葉などを意味します。

使用すべき語彙は、コンセプトやターゲット層に合せて選択する必要があります。適切な語彙を使わなければ、ユーザーは自分が求めているものとは違うと感じ、見るのをやめてしまうからです。

例えば会社について調べるとき、ビジネスコラムなら「企業をリサーチする」といった表現が適切ですが、対象年齢が下がる場合は「会社について調べる」といった表現の方が、わかりやすいかもしれません。

このように、同じことを伝えるケースでも使用する語彙が変わるだけで、読み手に伝わる印象は異なります。そのため、使用する語彙を事前に決める必要があるのです。

まとめ

トンマナが担う役割や効果、設定する際のポイントなどを取り上げました。トンマナを設定することで、広告やコンテンツに一貫性や統一感が出ます。結果、ユーザーのブランドに対する信頼度が高まるため、集客力や売り上げが高まるでしょう。

他にも、コンテンツの作成時間の短縮やコストも減らせるなど、トンマナを設定することはメリットが豊富です。

トンマナの設計には時間や手間がかかりますが、得られる効果は非常に高いです。ただし、具体的にトンマナを設定しようとすると、色合いや表現による印象の違いについて悩んでしまうものです。

そのため、もし初めてデザインやライティングのトンマナを設定する場合は、専門家に相談することをおすすめします。それにより、より質の高いデザインが出来上がるでしょう。

小森健

本記事の筆者・編集者

小森 健

ピークスマーケティング株式会社 代表

大手広告代理店(東証プライム)でマーケティングやクリエイティブ作成を担当。
HP制作やLP制作、EC構築、デジタルマーケティングを得意領域とし、企画デザインからサイト実装まで一貫して対応可能なのが強み。
10年以上IT業界にいる知見を活かし、本サイトを運営。

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