ポータルサイトとは?メリットや種類、ホームページとの違いについて解説
ポータルサイトはさまざまなコンテンツを集約したサイトのことで、一般的なホームページに比べて非常にたくさんのアクセスを得ることができます。利便性の高いポータルサイトはたくさんのユーザーを集客することができるため、制作を考えている企業もあるでしょう。
この記事では、ポータルサイトの特徴やメリット、種類、ホームページとの違いについて解説します。ポータルサイトを制作するための事前準備や大まかな流れについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
ポータルサイトとは
ポータルサイトとは、コンテンツを集約した巨大なウェブサイトのことです。さまざまな情報にアクセスできる「Google」などの検索エンジンサイトや「Yahooニュース」などのニュースサイト、「食べログ」などの口コミサイト、「indeed」などの就職情報サイト等がポータルサイトと呼ばれます。
「ポータル」とは、「玄関」や「入り口」という意味の言葉です。「ポータルサイト」という言葉も、もともとはインターネットに接続すると最初に開かれるページを意味していました。
現在ポータルサイトという言葉は、さまざまな情報にアクセスするための入り口となる巨大なウェブサイト、という意味合いを持っています。ポータルサイトは、総合型ポータルサイトや口コミ型ポータルサイトなど、アクセスできる情報の規模やジャンルによってさまざまな区分がなされています。
ポータルサイトとホームページの違い
ポータルサイトとホームページの大きな違いは、コンテンツの多さです。ポータルサイトは非常に多くのコンテンツを集約しており、さまざまなページへのリンクを貼っている総合的なサイトです。一方、ホームページでは一企業に関連した情報や専門性の高い情報など、狭い範囲のコンテンツだけを配信します。
またポータルサイトは、さまざまなホームページにアクセスする入り口となるサイトです。例えば検索エンジンからは、キーワード検索を行うことであらゆるホームページにアクセスできます。就職サイトは採用情報とともに企業のホームページへのリンクを掲載しています。
ポータルサイトは、小さなホームページの入り口となる巨大なホームページ、という言い方もできるでしょう。ポータルサイトには多くのユーザーが集まるため、集客手段として活用されます。
ポータルサイトのメリット
ポータルサイトにはユーザーにとっても企業にとってもさまざまなメリットがあります。主なメリットは以下の3つです。
- 情報を管理しやすい
- リピートのアクセスが集まりやすい
- 広告収入を得やすい
ユーザー側のメリットとしては、さまざまな情報へアクセスしやすいことが主なものです。一方で、企業側がポータルサイトから得られるメリットは、大量の見込み客を獲得できる点にあります。。以下、ポータルサイトのメリットについて詳しく解説します。
情報を管理しやすい
ポータルサイトを利用する人にとってのメリットは、たくさんの情報が集約されて利便性が高いということです。ネット上にバラバラに散らばっている情報を集めてくれているため、ポータルサイトに訪れさえすればあらゆるコンテンツにアクセスできます。
また、ポータルサイトにはユーザーの課題を解決するための便利な機能が備わっています。例えば、就活サイトであればポータルサイトで採用情報を調べるだけでなく、応募することも可能です。また、飲食店の口コミサイトでは口コミを閲覧したのち同じサイト内でお店の予約をすることもできます。
ポータルサイトがなければ、ユーザーは自分の求めている情報を見つけるためにたくさんのホームページを訪れなくてはなりません。ポータルサイトはこういった手間を省いて、情報を1つのサイトで管理できるようにしてくれます。
リピートのアクセスが集まりやすい
企業側から見たポータルサイトのメリットの1つは、リピートのアクセスが集まりやすいという点にあります。ポータルサイトは情報を集約しているサイトであり、情報を求めて同じ人が何度も訪れてくれるからです。
リピーターを獲得することで、さまざまなビジネスのチャンスが生まれます。例えば、ポータルサイトをより便利に使うために有料のプレミアム会員を用意すれば、リピーターから直接マネタイズすることが可能です。新しいサービスを展開する際も、ポータルサイトで宣伝すればリピーターの何割かは興味を持ってくれるかもしれません。
リピーターが何を求め、どうしたらより喜んでもらえるかを考えることで新たなビジネスにつなげることができます。
広告収入を得やすい
多くの人が集まるポータルサイトであれば、通常のホームページに比べて広告収入を得やすいですし、広告単価も高く設定できるでしょう。広告収入を得ようと考えている企業にとって、ポータルサイトを作ることは大きなメリットを生みます。
ポータルサイトに掲載される広告は、主にディスプレイ広告や純広告です。ポータルサイトの集客力があれば、ディスプレイ広告のクリック数を増やして大きな収益をあげられるでしょう。また、ポータルサイトの高い宣伝効果を考えれば、純広告の掲載費用も通常のホームページと比較して高額に設定することができます。
ポータルサイトから自社のオウンドメディアへ集客し、そこでコンテンツを発信しつつアフィリエイト広告を掲載するという戦略も可能でしょう。多くの人が集まるポータルサイトでは、広告収入を得るためのさまざまな施策が考えられます。
ポータルサイトの種類
ポータルサイトはさまざまな情報にアクセスするための入り口となるサイトですが、情報の範囲や種類によっていくつかの区分が可能です。ポータルサイトは、以下の6種類に区分されます。
- 総合型ポータルサイト
- 口コミ型ポータルサイト
- 地域型ポータルサイト
- 専門型ポータルサイト
- 社内ポータルサイト
- マッチング型ポータルサイト
ポータルサイトの種類によって、制作方法やマネタイズの戦略などは大きく変わります。以下、6種類のポータルサイトについて詳しく解説します。
総合型ポータルサイト
総合型ポータルサイトは、国内外のニュースや天気、株価情報、ショッピング情報などさまざまな情報・コンテンツを網羅しているポータルサイトです。代表的な例としては「Yahoo! Japan」や「Google」のような検索エンジンサイトが挙げられます。
総合型ポータルサイトは、ネットユーザーにとってのインフラとなるサイトです。適切に運営できれば莫大なユーザーを獲得できる可能性があり、ディスプレイ広告や検索エンジン連動型広告(リスティング広告)によって巨額の収益が見込めます。
ただし、世界でもトップレベルのIT企業が競合となるため、今から参入することは非常に難しいでしょう。新規にポータルサイトを立ち上げる場合は、情報の範囲を絞ることが大切です。
口コミ型ポータルサイト
口コミ型ポータルサイトは、飲食店や家電など特定の製品・サービスに関するユーザーの口コミ情報を掲載するポータルサイトです。代表的な例としては「食べログ」や「みん評」、「価格.com」などが挙げられます。
口コミ型ポータルサイトの特徴は、ユーザーがコンテンツを自ら作り出してくれるという点にあります。そのため、ユーザーが思わず口コミを書き込みたくなるような仕組みを作り出すことが重要です。
全国各地の飲食店を掲載したり、あらゆるメーカーの製品を網羅することはもちろん、口コミを書くことで「いいね」や「ポイント」がもらえるなどの仕組み作りも欠かせません。成功した口コミ型ポータルサイトは、掲載店からの広告費やアフィリエイト広告などで収益化できるでしょう。
地域型ポータルサイト
地域型ポータルサイトは、特定の地域にかかわるコンテンツを網羅したポータルサイトです。具体例としては東京都公式ポータルサイトの「My TOKYO」や、北海道への移住ポータルサイト「北海道で暮らそう」などがあります。
地域型ポータルサイトの特徴は、イベント情報やお出かけスポットといった情報だけではなく、災害情報や医療に関する情報、教育・子育ての支援制度などその場所に暮らすうえで必要な情報が網羅されている点にあります。
現在暮らしている人ではなく、移住したい人向けの情報を集めた地域型ポータルサイトも多くあります。地域型ポータルサイトは地域振興を目的とする側面が大きいため、自治体や地域企業と協力しながら制作することが大切です。
専門型ポータルサイト
専門型ポータルサイトは、特定のジャンルのコンテンツのみを集中的に網羅したポータルサイトです。代表的な例としては、就活サイトの「indeed」や住宅情報サイトの「LIFULL HOME’S」などが挙げられます。
専門型ポータルサイトでは、特定のジャンルのコンテンツを広く浅く集めていることが重要です。例えば就活サイトであれば企業の採用情報だけでなく、エントリーシートの書き方や面接のコツ、スーツの選び方等々就活をする上で必要になるであろうあらゆる情報を網羅しています。
専門型ポータルサイトといっても、あまりに専門的になりすぎてしまっては多くのユーザーを集めることができません。どのような層のユーザーにも役立つように、広く浅く情報を網羅することが大切です。
社内ポータルサイト
社内ポータルサイトは、会社の社員だけがアクセスできるポータルサイトです。社内の情報やアプリを社内ポータルサイトに集約することで、必要な情報を必要な時に取得できるようになります。
社内ポータルサイトの特徴は、情報をまとめるだけでなくコミュニケーションツールとしても使われることが多いという点です。グループウェアや社内SNSなどの機能を盛り込んでおけば、社内の意思決定がスムーズに行われるでしょう。
社内ポータルサイトで情報を一元管理することで、ペーパーレス化にもつなげられます。情報が多数の部署へ分散しやすい規模の大きな企業ほど、社内ポータルサイトを活用できる可能性が高いでしょう。
マッチング型ポータルサイト
マッチング型ポータルサイトは、利用者同士を結びつけることに主眼を置くポータルサイトのことです。代表的な例としては、フリマサイトの「メルカリ」や婚活サイトの「Bridal Net」、クラウドソーシングサイトの「クラウドワークス」などが挙げられます。
マッチング型ポータルサイトの特徴は、利用者同士の1対1の関係を成立させる点にあります。SNSのようにコミュニティを形成するのではなく、フリマサイトであれば商品を介して、婚活サイトであれば結婚というライフイベントを介して、互いのニーズが合致した2人の関係を結びつけます。
マッチング型ポータルサイトでは、専門型ポータルサイトと同様、サイトのテーマに関するコンテンツを網羅することが重要です。例えばフリマサイトであれば単にプラットフォームを作るのではなく、売り方のコツや最低限のマナーなどを伝えるコンテンツを作ることでユーザーが利用しやすいサイトになるでしょう。
ポータルサイト制作の流れ
ポータルサイトを制作するおおよその流れは決まっています。一般的には以下の流れで行われます。
- 要件定義
- ワイヤーフレームの作成
- デザインの作成
- コーディング
- システムの構築
- 管理画面の構築
- コンテンツ制作
ポータルサイトの制作は、一般的なホームページを制作するよりも規模が大きく技術も必要な事業であり、外部の制作会社に依頼することが多いでしょう。制作の流れを知っておくことで、依頼時に伝えるべきことやスケジュールなどを把握することができます。
要件定義
ポータルサイトの制作は要件定義から始まります。要件定義とは、ポータルサイトを構築するために必要な機能や要求を洗い出す作業のことです。
適切に要件定義を行うには、ポータルサイトで何を実現したいのか、ポータルサイトでどのような課題を解決したいのかを明確にする必要があります。要件定義ではそれらの課題を解決するためにどのような機能や仕組みが必要になってくるかを明確化します。
要件定義はポータルサイト制作の土台となる作業です。サイトの完成形をイメージしながら機能や要求を洗い出します。
ワイヤーフレームの作成
要件定義が済んだら、ワイヤーフレームを作成していきます。ワイヤーフレームとはポータルサイトの大まかな設計図のようなもので、サイトのどこにどのような機能を配置するのかを大まかに描き、可視化します。
ワイヤーフレームで重要なのは、要件定義で洗い出された機能や要求を、実際のサイトでどのように構成するのかを明確化することです。本当に必要な機能なのか、他に盛り込んだ方が良い機能があるのではないか、といった要件定義の変更や修正もこの段階で行います。
デザインの作成
次はワイヤーフレームに基づいて実際にポータルサイトのデザインを作っていきます。ワイヤーフレームでは機能だけを簡単に示しましたが、ここでは実際にサイトを利用する人の立場に立って、使いやすいデザインを意識することが重要です。
例えば、ユーザーの利便性を考えて検索機能を追加するとしても、検索ボックスのサイズが小さかったり色合いが目立たないと利用してもらえないでしょう。デザインの制作時はこういったユーザビリティも意識したUIを作成する必要があります。
コーディング
デザインを作成したら、Webブラウザでその通りに表示されるコーディングを行います。コーディングとは、HTMLやCSS、Java scriptなどのコンピュータ言語を用いてポータルサイトのデザインや機能を実装していく作業のことです。
コーディングが済んだ段階でデザインを変更すると、修正作業が煩雑になる可能性があります。そのため、デザインの修正や変更はコーディング作業が始まる前に必ず済ませておくようにしましょう。
システムの構築
ポータルサイトの要件には、ユーザー情報のデータベース化など表面のデザインからは見えてこないシステムの構築が必要となる場合があります。こういったバックエンドシステムの構築も、コーディングと並行して行います。
コーディングは検索ボックスを使いやすくデザインする作業であり、システム構築は検索機能を実装する、といった役割分担になっています。どちらの作業もコンピュータ言語に関する専門的な知識が必要なため、社内にリソースがなければ外注を検討するとよいでしょう。
管理画面の構築
コーディングとシステム構築によって作られたポータルサイトは、そのままでは修正や更新をするためにコンピュータ言語をいちいち書き直さなくてはなりません。更新作業を簡単にするには、コンピュータ言語に詳しくない人でも使えるよう管理画面を構築する必要があります。
管理画面はシステム担当者以外でも使える分かりやすいデザインにすることが大切です。使い勝手を無視すると作業が煩雑になり更新も滞ってしまうリスクがあるため、注意してください。
コンテンツ制作
ここまでの作業でポータルサイトに必要な要件はほぼすべて実装できました。後はサイト内のコンテンツを充実させていくだけです。
実際は、ポータルサイトを立ち上げてからコンテンツを企画し制作し始めることはほとんどありません。たいていの場合、サイトを立ち上げようと企画した段階でコンテンツのアイディアがいくつか浮かんでいることが多いです。そのため、コンテンツ制作とポータルサイトの制作は、同時並行で作業を進めるのが効率的です。
まとめ
ポータルサイトとは、たくさんのコンテンツを集約した巨大なサイトのことです。さまざまな情報にアクセスするための入り口となり、利用者数が多く集客効果や宣伝効果が高いサイト形態となっています。
ポータルサイトは総合型ポータルサイトや口コミ型ポータルサイトなど、情報の種類や規模によって6つに分類されます。ポータルサイトを制作する際は、どのような課題を解決するために作るのかを明確にしたうえで要件定義を行い、ワイヤーフレームやデザインの作成、コーディング等を進めていくことが大切です。